内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
約束のふたりの結婚式が実現したのは、それから一年後のことだった。
初夏のフィレンツェは、蒼佑出会ったあの日と同じぐらいカラリと晴れている。
藍里はマーメイドラインのウエディングドレスに身を包み、漆黒のタキシード姿の蒼佑と共に祭壇の前に立っていた。
(大丈夫かしら……)
ソワソワしながら待っていると、教会の大扉が開く。
ふわふわのパールピンクのドレスに身を包んだ、かわいらしいリングガールの登場に教会中が沸いた。
璃子は大勢の人が見守る中、事前に練習した通り両手でリングケースを持ちながら藍里と蒼佑のもとに歩いてきた。
「璃子、ありがとう」
バージンロードを踏破し蒼佑にリングケース渡すと、無事に大役を果たし誇らしげに胸を張る。
璃子を真ん中に挟み、三人で手を繋ぎ、神父による誓いの言葉を聞く。
夫婦の愛の誓いを確認する神父のイタリア語のあとに続ける。
「誓います」
「誓います」
「ちかいます!」
蒼佑と藍里に倣うように、璃子は教会中に響き渡るような大きな声で叫んだ。