内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。

(璃子ったら……!)

 恥ずかしいやら微笑ましいやらで、思わず笑いが込み上げてくる。
 連絡帳で「大きなお声でいつも元気がいいです」と書かれている璃子らしい。
 耐えきれなかったのか、神父の肩も心なしか震えている。

 蒼佑はクスクスと笑いながら、藍里の頬にキスをした。
 そして、なぜ笑われているのかわからず目をキョロキョロ動かす愛娘を抱き上げ、その頬にもキスを贈った。
 誓いのキスは指輪を交換したあとのはずだが、順番が逆なのも藍里たちらしい。
 かつて、このフィレンツェで蒼佑と藍里は出会い恋に落ちた。
 一度は違う道を歩んだが、二枚の絵が再びふたりを引き合わせた。
 蒼佑は璃子を下ろすと、今度は藍里の左手を取った。
 薬指にオーダーメイドの結婚指輪が嵌められていく。

「生涯かけて君を愛すると誓うよ」

 蒼佑の言葉に藍里は微笑みながら深く頷いたのだった。
 
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