内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
「たしかに、璃子はあなたの子どもです」
藍里はようやく洗いざらい白状した。
このまま認めなければ、蒼佑はDNA鑑定も辞さない構えだ。どうせ検査をすればすべてが明らかになる。
駆け引きが長引いたところで、なんの意味もなさない。
「やっぱりそうか。あの子が俺の娘……」
蒼佑は喜びと驚きが入り混じった神妙な表情で口もとを手で覆った。
璃子の存在は蒼佑にとっても計算外だっただろう。
「どうして今まで連絡してこなかったんだ? テーブルにメモを残しておいただろう?」
蒼佑から尋ねられても、藍里はぎゅっと唇を噛み締めたまま答えなかった。
彼の言うようにその気になればいつでも連絡できたが、あえてしなかった。
「理由なんてどうでもいいでしょう? 私はあなたに父親としての責任を押しつけるつもりはありません」
藍里は意図的に答えをはぐらかした。
璃子を産むと決めたのは自分の意志だ。慰謝料も養育費も求めていない。
藍里の収入でも親子ふたりならそれなりに暮らしていける。
璃子が小学生になったら勤務時間を増やすつもりだし、誰かに頼らなくてもなんとかなる。
子どもがいるとわかったところで、蒼佑にできることなど、ありはしない。
ふたりを隔てた三年の月日は、あまりにも長すぎた。