内緒でママになったのに、溺愛に目覚めた御曹司から逃れられない運命でした。
『あー! もう! みんな気遣いの方向性が間違ってるのよ! 別に宗像さんが海老原清光の娘でなんの問題があるの!?』
郡司はそう言って藍里が海老原清光の娘だと知り、いきなりよそよそしくなった同僚たちを叱り飛ばした。
同僚たちと改めて向き合う機会を得た藍里は改めて頭を下げた。
『海老原清光の娘だって黙っていてすみませんでした。でも、私……この先もこの会社で働いていたいんです』
さらに郡司は初めての妊娠で右も左もわからない藍里の世話を焼いてくれた。
『妊娠してるの? え!? ひとりで産むつもりなの? 病院は? まだ決まってない? 待って! 私が通っていた産婦人科を紹介してあげるから!』
その後、郡司のおかげで藍里は周りに妊娠を打ち明けられ、産前産後も適切な行政サポートを受けられることになった。
同時に真の意味でシングルマザーとして生きる覚悟を決めた。
『困っている人がいるのに放っておけないでしょう?』
そう言って藍里のことを逐一気にかけてくれる郡司には一生頭が上がらない。
藍里ひとりの力ではとても璃子を育てられなかった。
(いつか郡司さんみたいになれたらいいな)
藍里にとって郡司は母としても、ひとりの人間としても憧れの存在だ。