コンネリシャス王国の恋物語2  亡国の王女と心優しい王子の恋
そう言ってリリーを後ろから
抱きしめてくれた。

船尾に立ち、過ぎてゆく水面と水平線に
沈みそうな太陽を二人して声もなく
見つめていた。

リリーはこの先のどこにカメリア王国が
あるのだろうかと思っていた。

「ねえ、シード、カメリアっていう
国の話は聞いたことがある?
島国で1年中暖かい国
らしいのだけど…」

「カメリア?知らないなあ。
父上なら知っているかも、だけど
リリーはどうしてそんな国のこと
知っているの?」

「うん、昔母に聞いたことがあって、
5歳くらいの時の話だからうろ覚え
なのだけど、真珠の養殖が盛んで
1年中暖かい気候だから、作物や
果物も1年中美味しいものが木に
なっているんだって、きっとさっき
食べた果物みたいなんじゃないのかなあ
それで母の話を思い出したの」

うろ覚えなんかではない母の話は一言逃さず
に繰り返すことができるくらいによく
覚えているのだ。

そう言っているうちに太陽が水平線に
沈み始めた。

本当に空が真っ赤になって海も太陽に
照らされて赤く染まっていた。

陽の光が海に揺蕩い一筋の道を指し示す
ように伸びている。

幻想的な光景に護衛騎士や船長まで船尾に
やってきて皆声もなく景色に見入っていた。

そして、夜の訪れとともにリリーの幸せな
一日は終わった。

帰りは馬車で家まで送ってもらった。

リリーは別れ際に

「シード今度少し話があるの。
いつでもいいからシードの都合のいい
時に家まで来てほしいの」

「深刻な話?」

「うん、ちょっと深刻かな」
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