コンネリシャス王国の恋物語2  亡国の王女と心優しい王子の恋
ジュシード王子はそっとリリーの頬に手を
当てて涙をぬぐった。

リリーはそれまで自分が泣いている事に
気がついていなかった。

それは、カメリアを侵略した国に対しての
憤りの涙でもあり、カメリア国民に対して
王族としての詫びの涙でもあった。

「一緒に来てと縋った母に父は王族として
最後まで戦う一人でも多くの国民を救う
義務があると言って、ピートに三人を頼む
と言って踵を返して戦いに向かったと
母は言っていたわ。
私はそんな父を誇りに思うし、自分の妻子
だけを逃がすのは国民に申し訳ないという
気持ちったがあと思うの。
でもカメリアの未来を私に託したのだと思う
だから母が何度も何度もカメリアに行って
欲しいと願っていたのだと
今になって思うの」

「リリー、君は何て多くの物を背負って
いるんだ。たった一人でその小さな体に…」

そう言ってジュシード王子はリリーを
抱きしめた。

その時堰を切ったようにリリーは
泣き出した。

自分の秘密を打ち明けて今までたった一人で
守ってきた秘密や使命を分かち合ってくれる
人がいてくれる事に、やっと信頼できる人に
会えた事に安堵した涙だった。

ジュシード王子は膝にリリーを抱き上げて、
背中をとんとんとして泣き止むまでずっと
抱きしめていてくれた。

そしてリリーが泣き止むと唇で頬の涙をぬぐい
そのまま唇に口づけた。

リリーは初めてのキスに戸惑ったものの
目を瞑って受け入れた。

口づけはだんだん深くなりジュシード王子の
舌が口内に侵入しリリーの舌に絡みついた。

「リリー、君が欲しい」

ジュシード王子の言葉に、ピクリと反応した
リリーだが、こくりとうなずいた。

ジュシード王子はそのままリリーを横抱きに
するとすぐ隣のリリーの寝室のベッドに
そっと横たえた。

リリーはカメリアに帰らなくてはならない。

今はどうなっているかわからないけれど、
侵略された国によってきちんと統治されて
いるならリリーは何も言うつもりも
カメリアにいるつもりもなかったけれど、
もしカメリアの国民が苦しみの中にいる
ならなんとしてでも助けにならなくては
いけない。

それが父に逃がしてもらい命を助けて
もらったリリーの務めだと思うからだ。

そうなった時、リリーはジュシード王子の
隣には立てないだろう。

彼はこの国の国王となる人なのだ。

きっとその地位に見合った人と結婚
しなくてはならない。

リリーの様に沢山の重荷と責任を背負った
女ではなく…

だから今宵ひと時彼を自分一人のものに
したいそして彼の随一でありたいと思った。

たった一晩でもリリーはその思い出を胸に
残りの人生を必要とされるならカメリアの
国民に捧げようと思っていた。

その夜は何度も何度も愛し合い、
二人は至福の時を過ごした。

疲れ切ってリリーが寝てしまうと外で待機
している護衛騎士に今日は城には帰れない
のでその旨、セレスに伝えて欲しいと言った

セレスなら上手に処理をしてくれるだろう。

そしてリビングに出しっぱなしにしていた
数々の宝石や真珠をリリーの寝室の長持に
そっとしまった。
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