コンネリシャス王国の恋物語2  亡国の王女と心優しい王子の恋
皆は思い思いに座りながら、遠くの
陸や青い海や時々顔を見せるイルカに
癒されながら、初夏に移り変わろうと
している陽差しを楽しんでいる。

するとピートが“カメリアが見えてきた”
と叫んだ。

皆でピートを囲むように前方を見つめた。

”ああ~あれがカメリアなの。
母様帰ってきたよ。母様見える?
母様との約束を果たすために皆の助けを
得て何とかカメリアにたどり着いたわ“
リリーはそう心で母に話しかけた。

紺碧の海に母の輝く笑顔を見た気がした。

ジュシード王子がそっとリリーの肩を
抱き寄せて、指先で頬の涙を
ぬぐってくれた。

「私泣いていたのね」

「ああ、頑張ったなリリー、ここまで
こられたのは奇跡というほかない。
でもこれからが大変だ、
未知の世界だからな」

海から見るカメリアは断崖絶壁に阻まれて
島の北側になるこちらからは上陸どころか
大きな船は近寄ることもできない
ということだ。

大きな岩が所々顔を出しているし波も高い

反対に南側は海も静かで海岸線は入り組んで
いるが入り江になっているところが多い。

ピートは南側に回り込んで複雑な入り江の
一つにゆっくりと侵入していく。

そして王宮の地下と繋がる入り江に
入っていく。

本当に狭い所をピートは右に左に舵を
取りながら進んでいく岸の岩肌に
手が届きそうだ。

皆押し黙って息を凝らしている。

そして船はぽっかりとあいた洞窟の中に
吸い込まれていった。

「姫様、皆さまお疲れ様でした。
ここが王宮の地下にあたる王家の入り江です
ここから18年前ルビシア様と乳母の
腕の中に抱かれたリリーデイア様と4人で
逃げ出したのです。砲弾が絶え間なく
撃ち込まれてすごい音がしていたのに
姫様はグーグーと眠っておられました。
グリード殿下は胆のすわった頼もしい王女だ
と言って最後に姫様を腕に抱かれて戻って
いかれました。今でも鮮明に覚えています。
“ピート頼んだ”と最後に声を
かけていただきました」

ピートは泣きながら話してくれた。
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