魔法文具屋で、“わたし改革”はじめます!
黒瀬くんがいなくなった空間でも、空翔くんが喋り続けることで賑やかなままだった。
でも、ここねは気になることがあった。
「ねえ、空翔くん」
「なんっすか?」
「なんで、わたしが頑張ってることを、知ってるの?」
空翔はイスに座りながら、無邪気に足をパタパタと動かす。
前にも、わたしのことを知っている口ぶりだった。
人懐っこい笑顔。
わたしを喜ばせる言葉の数々。
でも、その奥先を、わたしはまだ知らないまま。
「大したことじゃないっすよ。ここね先輩、有名人だし」
「え、わたしが?」
「先輩、学級長やってるし、生徒会にも推薦されてるでしょ?」
それだけで有名人扱いなんて。
少しだけ空翔くんの言葉に間があった。
「……いや、うそ。うそではないけど、先輩のこと知ってる人は多いと思うけど……オレがここね先輩のことを知ってるのは、それだけ先輩を見てたからっすよ」
「…え、どういう意味?」
「オレ、うるさいし成績良くないんで、よく先生に呼び出されるんすよ。職員室で説教されてるときに、よく先輩が先生の手伝いをしてるのを見てて」
「そうだったんだ……」
「なんとなく、目につくようになって。友達にも先生にも頼られて、すげー人だなって」
その言葉に、ここねは少しうつむいた。
だって、わたしは自分に自信がなくて。
自分ができることを必死にがんばって、周りから頼られることで自尊心を保っていた。
純粋な「助けたい」で動いていなかった。
自分のことばかり考えてたんだなって、少しだけ胸がチクリとした。
空翔くんのまっすぐな目が、まぶしすぎて……思わず、目をそらした。