男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「騎士見習いトーラ・ターナーを連れて参りました」
ラディスがそう声を張り、キアノス副長と共に恭しく頭を下げるのを見て、私もそれに習い頭を下げる。
「入れ」
そう言ったのは王様の傍に控える男性だ。
前のふたりが赤い絨毯の上を歩き出し、私もそれについていく。
しかし、広間の半ば程まで進んだところでふたりが足を止め私の両側に捌けていってしまい、残された私は慌ててもう一度その場で頭を下げた。
「お前が、トーラか」
「は、はい!」
頭を下げたまま答える。
「良い。面を上げよ」
そう言われてゆっくりと顔を上げると、王様は優し気に微笑んでいた。
「ラディスから話は聞いている。この度の働き、誠に大儀であったな」
「も、勿体ないお言葉でごさいます!」
なんと言っていいかわからず、そうしてまた頭を下げてしまった。
「まさか、あれが魔女であったとは。まんまと騙されたわ」
そんな自虐の響きに何も答えられずにいると、王様は続けた。
「お前がいなければ、そこのキアノス含め皆危なかったと聞いている。感謝するぞ。トーラ」
「はっ!」
「あの魔女をすぐにでも見つけ出し捻り上げたいところだが、相手は魔女。しかも仲間もいるかもしれぬという話だ。しかしこのままにしてもおけぬ。……そこでだ」
王様は私を見つめ言った。