根暗な貴方は私の光
 貴方が哀れに見えたから、私は貴方の向かいに座った。あの時の私はそう思い込んでいた。
 けれど、私が貴方に話しかけたのは、一人でいる貴方が哀れに見えたからではなかった。

 似ていると思ったの。何もかもを捨てて自分から独りになった私と、端の席で気配を消している貴方が。
 
 ただ、目の前にある当たり前の日常に幸せを感じて、静かに噛み締めていたいだけだったの。

 誰かが貴方の目を死んだ魚の眼だと言った。でも、私には曇りのない真っ直ぐな瞳に見えていた。
 貴方のその目に見つめられる度、私の心はただ喜びに満たされたの。

 叶うならば、ずっと貴方の隣りにいたかった。
 叶うならば、貴方の名前をもっと呼びたかった。
 叶うならば、貴方に私の名前をもっと呼んでほしかった。

 ねえ、清弘。

 貴方の好きなものは何?
 貴方の苦手なものは何?
 貴方はいつも何をして過ごしていたの?
 私の知らないところで貴方は何をしてきたの?

 もっと貴方のことを知りたかった。もっと貴方の口から色々な話を聞きたかった。


 ねえ、清弘。


 好きよ。大好きよ。


 愛してる。ずっと愛してる。


 貴方は私の光だった。根暗でも貴方の中には確かな光があって、私を照らしてくれていた。
 貴方は私の光。
 貴方は私の道標。

 どうか、貴方の征く場所への道標が私でありますように。
< 93 / 93 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:24

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

未完成のワンフレーズ

総文字数/68,315

恋愛(純愛)113ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「下手だね」 「じゃあ聞かなかったら?」 夜の歩道橋で出会った、最悪な男の子。 精神的な病を抱え、 夜になると独りで街を彷徨ってしまう私と、 白血病を患い、病院でギターを弾く彼。 最悪の出会いだったはずなのに、 彼の歌は、いつしか私の夜を変えていった。 「俺の歌、好きか?」 「……うん。大好き」 歌に救われ、 彼に惹かれていく。 だけど彼には、 私に言えない秘密があった。 「約束する。また明日も歌うから」 その約束が、 永遠に続くと思っていた。 けれど――もう一度出会った貴方は、 あの日と同じ笑顔で笑っていた。 「俺、今度こそ――」 その言葉の意味を、 私はまだ知らない。  ─  ✦  ─ 好きだったから、貴方を大嫌いになった。 そして私は、 貴方が残した最後の歌を――歌い継ぐ。
【短】君の手が動く限り、俺は隣りにいたいから

総文字数/11,170

恋愛(学園)12ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
俺は、君の右手になりたかった。 ただ、隣で君の描く青空を見ていたかった。 君の絵が、 君の笑顔が、 君の夢が、 全部、全部好きだと気づいた頃、 君はすでに俺の隣にはいなかった。 『卒業おめでとう⋯⋯碧南』 長い長い人生の、 ほんの数ヶ月だけの付き合い。 恋人同士だったわけでも、 古くからの知り合いだったわけでもない。 『凌、もう⋯⋯私のことなんか忘れて』 赤の他人同士だったからこそ、 互いに突き放しちゃったりなんかして。 『自分はもういねぇから簡単に言えるけどさ、 たった一人残される側にでもなってみろよ⋯⋯っ!』 君の描く青空は、 遠くへ滲んで消えていった───……。
箱入り娘は無感情ボディーガードに護られたい

総文字数/210,900

恋愛(学園)194ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私は箱入り娘。 外の世界を知らない、 哀れな小鳥。 愛されすぎた私は、 愛し方を知らない。 『私、ボディーガードなんていらないよ?』 私が箱入り娘になったのは、 過保護な父親の影響。 『今日からお嬢のボディーガードを務めます』 ただボディーガードがつくだけならよかった。 でも、 過保護な私の前に現れたのは、 最先端技術を搭載した護衛ロボットだった。 ❦ 生粋の箱入り娘 神条 新那 (しんじょう にいな) × お嬢の無感情ボディーガード コードネーム:R-01 神条 零 (しんじょう れい) 通称:アール ❦ 『お嬢、あまり俺を揶揄うな』 ロボットだから無感情のはずなのに。 『俺が絶対に護ってやる。だから、お嬢は黙って護られてろ』 心なんて持ってないはずの彼には、 確かな愛と優しさがある。 その甘さは、一級品。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop