秘密のカランコエ〜敏腕ドクターは愛しいママと子どもを二度と離さない〜
「俺との子どもを望んでくれていたのに、なぜ?」
「それは……」

 嘘ではない。本当に私はあなたとの子どもを望んでいた。
 ただ、あなたの妻になる勇気がなかっただけ……。

 言葉に詰まる。
 沈黙が続くと、さらに空気が張り詰めて重くなっていき口が開けなくなる。

「あの夜、嬉しかったんだ。俺のすぐ傍に茉奈がいて、子どもができたらもっと幸せだって思った。だから俺は、茉奈にあの指輪を贈った」
「それは私だって……」
「なら、どうして──」

 宗一郎さんが何かを言いかけた時。

「……ママ?」
 彩花がぼんやりと目覚めてしまう。

「ん? どうしたの?」

「んん、あのね、夢でママとあやかが遊んでたらね、パパがお迎えに来てくれたの。それでね、三人でおてて繋いでおうちに帰るの」

「うん……そう、そっか……彩花……」
 私は涙を堪えて、彩花の頭を撫でて優しく抱きしめる。僅かに震える声を必死に押し殺して、下唇を強く噛んだ。

「うん……」
 また眠りにつく彩花の寝顔が、涙で歪んでいく。
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