酒好きがバレて追放された元聖女ですが、不眠症の辺境伯様と【秘密の晩酌】はじめました 〜昼は冷徹、夜は甘々。ほろ酔い旦那様の執着愛が止まりません〜
食後のコーヒータイム。
契約を終え、ホクホク顔のカルロ会頭が世間話を始めた。
「いやはや、これで我が商会も安泰です。……正直、王都の方は今、景気が悪くてですね」
「王都が?」
私が尋ねると、彼は声を潜めた。
「ええ。聖女アマレッタ様……あ、いや、貴女様が追放されてからというもの、どうも雲行きが怪しいのです」
カルロ会頭は、私が元聖女であることを知っているようだ。
まあ、隠しているわけではないしね。
「食料の腐敗が早くなりましてね。市場の野菜はすぐにしなびるし、酒造りも失敗続きだとか。おまけに、流行り病も増えているそうで」
「へぇ……」
私は他人事のように相づちを打った。
私の発酵・保存の聖女パワーがなくなった影響が、じわじわと出ているのだろう。
「新しい聖女様――えっと、ミユウリ様でしたか? 彼女の祈りはどうも効果が薄いらしく。王太子殿下もイライラして、側近に当たり散らしているという噂ですよ」
ざまあみろ、という言葉が喉まで出かかったが、シードルと共に飲み込んだ。
あのヒステリック王太子が、腐った野菜と不味い酒に囲まれて青筋を立てている姿を想像すると、最高のおつまみになる。
「……自業自得だな」
フロスティ様が、冷ややかに言い放った。
「宝石を捨て、石ころを拾った報いだ。……国がどうなろうと知ったことではないが、妻を返すつもりは毛頭ないぞ」
彼は私の方を見ずに、コーヒーカップを見つめたまま言った。
その横顔は冷徹そのものだが、テーブルの下で、私の膝に乗せた手に彼の手が重ねられている。
ぎゅっ、と強く握られた。
「……ははは、こんな『女神様』を手放すなんて、王都の連中は愚かですな」
カルロ会頭はそう笑い、残っていたピザの耳を口に放り込んだ。
契約を終え、ホクホク顔のカルロ会頭が世間話を始めた。
「いやはや、これで我が商会も安泰です。……正直、王都の方は今、景気が悪くてですね」
「王都が?」
私が尋ねると、彼は声を潜めた。
「ええ。聖女アマレッタ様……あ、いや、貴女様が追放されてからというもの、どうも雲行きが怪しいのです」
カルロ会頭は、私が元聖女であることを知っているようだ。
まあ、隠しているわけではないしね。
「食料の腐敗が早くなりましてね。市場の野菜はすぐにしなびるし、酒造りも失敗続きだとか。おまけに、流行り病も増えているそうで」
「へぇ……」
私は他人事のように相づちを打った。
私の発酵・保存の聖女パワーがなくなった影響が、じわじわと出ているのだろう。
「新しい聖女様――えっと、ミユウリ様でしたか? 彼女の祈りはどうも効果が薄いらしく。王太子殿下もイライラして、側近に当たり散らしているという噂ですよ」
ざまあみろ、という言葉が喉まで出かかったが、シードルと共に飲み込んだ。
あのヒステリック王太子が、腐った野菜と不味い酒に囲まれて青筋を立てている姿を想像すると、最高のおつまみになる。
「……自業自得だな」
フロスティ様が、冷ややかに言い放った。
「宝石を捨て、石ころを拾った報いだ。……国がどうなろうと知ったことではないが、妻を返すつもりは毛頭ないぞ」
彼は私の方を見ずに、コーヒーカップを見つめたまま言った。
その横顔は冷徹そのものだが、テーブルの下で、私の膝に乗せた手に彼の手が重ねられている。
ぎゅっ、と強く握られた。
「……ははは、こんな『女神様』を手放すなんて、王都の連中は愚かですな」
カルロ会頭はそう笑い、残っていたピザの耳を口に放り込んだ。