キミと、世界の果てまで。



声だけでは確定は出来ないが、不吉な予感があたしを襲う。それはレンも同じらしく、顔を真っ青にしていた。



―――嫌な予感。

尋常じゃない量の冷や汗。



シーンと静まり返った部屋は、何だか居心地が悪い。ゆっくりと視線をドアの方に向けた時、息を切らした寛司が表情を暗くして戻ってきた。



希望を失ったような、そんな“絶望”の目をしていた。




「寛司…?」



「ごめんな、驚かせてさ」




そう呟きながらも、疲れを滲ませたような暗い表情を浮かべている寛司に、レンが単刀直入に尋ねる。




「一体何があったんだよ」



「…やっぱり、チャームの仕業かもな」



「は?」



「父さんと母さんが、リビングで喧嘩してたんだよ。さっき何かが割れる音がしたのは、ヒステリーを起こした母さんが、皿を割った音だった…」




頭を抱え込む寛司を、あたしは人事のような気持ちで、呆然と眺めていた。


…それと同時に、認めたくなかった。




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