キミと、世界の果てまで。
「学校でもね、友達が急に冷たくなって、色々なカップルが別れて…もうイヤだよ…」
「大丈夫だから、朱里」
「お姉ちゃぁんッ…!」
張り詰めていた糸が解けたように、朱里は声を上げながら泣き始める。
あたしは朱里の頭を優しく撫でながら、そっと目を瞑った。
―――どうやら恋愛関係にある人達だけでなく、友人関係にも亀裂が生じているみたいだ。
異性を愛する事だけではなく、友達を思いやる、大切にする気持ちもちゃんとした“愛”のカタチ。
いくら足掻いても解く事の出来なかった数式が、今解けた。
きっと赤のチャームは、様々な人が抱える“愛”を奪おうとしている。
恋人にしろ、夫婦にしろ、友達にしろ、その思いは特別なモノなのだから。
「お姉ちゃんが護ってあげる。お父さんもお母さんも朱里の友達も、絶対に護って見せるから…」
朱里も、もしかしたら明日にでもチャームの影響を受け始めるかもしれない。
想像するだけで、恐ろしい。
この世界から“愛”が消えるなんて、そんな恐ろしい事は、絶対に起こさせない。
自分に言い聞かせるように、あたしは朱里の小さな身体を、もう一度抱き締めた。
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