キミと、世界の果てまで。



いや。

“襲い掛かってきた”と言ったほうが正しいかもしれない。



悲鳴を上げる前に、あたしは男の人に首を掴まれ、力いっぱい握り締めてきたのだ。


声にならない激痛が、あたしを襲う。



…何が起きているのか、よく分からない。


ただ言えるのは、あたしはこの人とは何の面識も無く、まったくの他人である事だけだ。




「ハハハ。人間とは滑稽だよなぁ。何を思って、俺は汗水垂らして働いてんだか」



「ぇッ…?」



「もう家族になど興味は無い。今日から俺は自由なのだ…!」




この言葉で、すぐにピンと来た。

この人も、チャームによって操られているんだ。



家族に対する感情が無くなり、ただ本能で動いている人形に過ぎない。


“愛”を失った人間は、ここまで狂ってしまうのか…。




「という訳で、お前には消えて貰う」



「ッ…!?」



「俺は人類のトップに立つ男なのだ!その為には、徹底的に人間を潰す」




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