キミと、世界の果てまで。



聞こえる。

悲鳴、叫び声、人々の欲望の結晶が、あちこちから聞こえてくる。




「寛司の体調もだいぶ良くなってきたし、俺達もそろそろ決着を付けないとな」




レンの突然の言葉に、あたしと寛司は頷く。


クロスをしっかりと握り締めて、瞼を閉じる。夢の中でしか出会うことの出来ないクロスを、何故か身近に感じる事が出来た。



…クロス、あたしはまだまだ未熟で、強くなんか無いけど。それでも絶対に、世界を、みんなを、護ってみせるから。



もう少しだけ、我慢してね。




「ほら、俺達のショータイムの始まりみたいだぜ?」




レンの声に、そっと目を開く。


神社の境内の前に立っているあたし達の前に、続々と人が集まり始めていた。



ひとり、ふたり、さんにん…


どんどん増えていく人数に、あたしとレンと寛司は、視線を合わせる。



チャームによって“愛する心”を失っている人々は、きっとチャームに導かれて、この神社までやって来たんだ。




.
< 280 / 312 >

この作品をシェア

pagetop