ヤンデレ彼氏に監禁されて
意識が無くなれと――お願いだから、もう止めてっ


見たくない、味わいたくない


五官があることに、初めて後悔して


『愛しているよ』


耳さえも削ぎ落としたくなった


彼を感じたくない
決壊していく、彼を思っていた気持ち


涙と畏怖が、この時の私を取り巻く現実であり


逃れたところで、それは私に『刻まれていた』


逃れた


本当に意識さえ無くなる時に、部外者――警察が部屋に入ってきた



あれだけ絶叫したんだ
友人も、私も、近隣の人が不信がって通報


現行犯逮捕


明らかに、悪者が定まった空間で彼は捕まった


『無粋だな……。邪魔だと分からないのか』


悪いという気がないのか、警察を前にした彼は言って


また、処刑を開始しようとしたが


彼の思い通りにならないこともあるものだ


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