桜の木の誓い

「竹刀が懐かしくて」

「もしかして…、剣術ができたり?」

「まぁ、少しは…」


あ、驚いてる驚いてる、と優真は暢気に藤堂を眺めた。

元々大きい藤堂の目は見開かれ、意外だと言わんばかりの表情である。



この反応は無理もない。

女子が好んで剣術など皆無とまではいかないが、然程多くはなかったこの時代。優真のような者は珍しかった。



「おじいちゃんがね、やっててそれで。でも最近はしてなかった」


それを聞いて藤堂は瞳の色を変えた。興味津々といったような、そんな表情が垣間見れる。


「ふ〜ん……じゃあ俺の相手してよ。どのくらいの力量か気になる」


(随分唐突……でも、久々に交えてみるのもいいかな)


「いいよ」


確か藤堂もまた、近藤や沖田のように新選組の幹部となる人物だった筈だ。そんな人が相手という事に程好い緊張感が優真の躯の隅々まで行き渡る。


「はい」


藤堂が何処からか持ってきた防具を受け取り、準備に取り掛かった。

少しの間、道場には静かな時が流れた。
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