感方恋薬-かんぽうこいやく-
あんまり変な噂を立てられても嫌だし、かと言って、えこ贔屓するのも何だし、出し惜しみして、えばってると思われても嫌だし、うん、ちょっと判断に困るな。


「あの…お礼は、幾らでもしますから」

紀美代はどうやら本気だった。あたしは紀美代の真剣さに押されて思わず答えてしまう。


「はい、わかりました」


うう、返事はしてしまったが、あんまり自信ないなぁもしも、失敗したらどうするんだ?そう思って見ても遅かった。


紀美代はきらきらと目を輝かせてあたしを見ているではないかい…


「じゃあ、じゃあ、お願いしますね」


紀美代は、あたしの手を握らんばかりの勢いで願いを吐きだした。


「う…うん、でも、金曜の夜でないと作れないから、来週ね」
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