感方恋薬-かんぽうこいやく-
紀美代は声を震わせながらあたしに訴えた。


普段おとなしい彼女が、そこまで言うとは思わなんだ。


それ位、本気なのだろう。


幸の奴め名前通り幸せな奴だ。


その幸が、あたしに、何かと理由を付けて話し掛けて来る物だから、彼女は幸とあたしが付き合ってると、勘違いしたのだろう。


「き、紀美代、落ち着いて、ね!」


紀美代はあたしに宣戦布告すると同時に嫌々する様なポーズで泣きながら、その場にわ~っと泣き崩れた。
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