感方恋薬-かんぽうこいやく-
「しかしだ二人とも、恋愛のチャンスは平等に与えられなければならないと、あたしは思う」


「へ?」


あたしは妙に間抜けな声で則子に返事をした。


「一人の意見だけで物事を判断するのは愚の骨頂。ここはひとつ平等に二人で幸を掛けて勝負して見ると言うのはどうだろうか?」


則子は、おもちゃを与えられた子犬の様なきらきら輝く瞳であたし達にそう告げた。好きなんだよなぁ則子、イベントが。


「いいです、その勝負、受けて立ちます!」
おい、紀美代、なんでそういう結論に成るんだ?誤解だから勝負も何も無いだろうに。紀美代、目を覚ませ、則子の口車に乗ったら取り返しが付かなくなるぞ、それでも良いのか?
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