破   壊
 ここ迄の事は、僕にとって、殺人とは呼べない範疇なんだ。

 理由は、何度も言うようだけど、自分で人を殺すといった意識が無かったから。

 本当の意味で、初めて殺人というものを行ったのは、高校二年の夏だったな。

 相手は、校長。

 理由は、担任の篠塚先生を別な学校に追い払ったから。

 この頃からかな、僕ははっきりと、僕から大切なものを奪う人間達に憎しみというものを意識するようになった。

 篠塚先生は大切な人だったのかって?

 愚問だね。僕の行動から察しなよ。

 今まで出会った人間の中で、彼女程、僕を理解しようとしてくれた人間は居なかった。

 勿論、僕の気持ちの全てを理解していたとは言わないよ。

 努力してくれていたという事実さ。

 ちょっとでも、自分達の考えの範疇から外れたりすると、あいつは変わってる、変な奴だって決め付けるけど、篠塚先生はそんな偏見を持たなかった。

 あんな立派な教師は居ないね。

 日本の教育制度の中で、よくあんな教師が生まれたと感心する位さ。

 それを無能な校長は他所に追いやった。

 あんなに憎悪が湧いたのは無いっていう位に校長を憎んだ。

 世の中に、必要無い人間は、抹殺されなければならない。

 抹殺の方法をいろいろ考えたけど、結局は、単純が一番と気付いた。

 薬物を使うとか、交通事故を装うとか、推理小説紛いな事を考えたけど、やっぱり物事はシンプルに行かなくちゃね。

 単純な程、証拠とかも余り残らないし、犯人が僕だって気付かれないもの。





< 10 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop