破   壊
 人通りが絶えたのを見計らって、僕は彼女を後ろから羽交い締めにしたんだ。

 何故、そんな事をしたかって?

 理由がいるの?

 そうしたかっただけだからさ。

 その時の感情だもん。脳があれこれ考える前に、心が身体を動かしていたのさ。

 その辺が、僕とみんなの違うところさ。

 心に正直に動けず、ただ悶々と悩む君らとは、思考レベルが違うのさ。

 何処迄話したっけ?ああ、羽交い締めした後ね。

 河原の土手沿いに潰れた鉄工所があってさ、そこに引きずり込んだ。

 と言うより、その鉄工所の前がチャンスだと思って狙っていたんだけどね。

 で、殺した……

 直ぐにかって?

 ……いろいろしたさ。

 いや、しようとした……

 そんな事どうでもいいでしょ。

 人を殺したという事実を知りたいんでしょ?そこに至る過程なんか意味無いしさ。

 とにかく、残念だったのは、咄嗟にやっちゃったって事。

 醜い殺人だったよ。

 美しくも何とも無い。

 だから、後始末が大変だった。

 一旦、家に戻り、鋸とか持って来て、処分し易いようにバラバラに解体したんだ。

 で、少しずつ下水道に流した。

 丁度、家の近くに大きな下水処理場があったから、都合が良かった。

 身体はそうやって始末出来たけど、処分に困ったのは制服とか鞄、それに靴。

 家に持ち帰って、細かく切り刻んでから少しずつ燃やしたのさ。

 母親は変だと思わなかったかって?

 気付く訳ないさ。僕の事なんか無関心で、男と寝る事しか眼中に無かったんだから……





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