月と太陽Ⅱ



――――コッコッコッというブーツの音が広間全体に反響して響きく。


ゆっくりと王の間の真ん中を歩く二人のうち一人は抜けて広間の隅にもたれ掛かった。


尚ももう一人の女は赤いカーペットが続いている玉座まで歩いてゆく。


そして神々しくゆっくりと座った。


「おかえりなさいませ、ルシア様。高速移動魔法[スピル]を使われたのですか?」


玉座の隣に立っている男が静かに言った。


年は三十代ぐらいだろう。


ルシアと呼ばれた女は玉座に座ったまま先程共に歩いて来た男を見ながら言った。


「ええ、私は苦手な魔法だからキトにやってもらったわ。あなたの得意な魔法ですものね」


クスッと笑ってルシアが言った。


ルシアと共に歩いてきた、キトと呼ばれた男は黙ったままだ。
< 167 / 172 >

この作品をシェア

pagetop