幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
長州内戦
そして、いよいよ、高杉さんの作戦を実行する時がきた。

まず、下関の奉行所を襲って、軍資金を奪うことになった。

でも、高杉さんは、ここ了円寺ってとこに残って次の作戦を練ってる。
あたしも『行かなくていい』って言われて、一緒に残っちゃったけど、大丈夫なのかなぁ。
次の作戦なんか考えてても、皆捕まっちゃって、戻って来なかったらどうなるんだろう…。
「心配せんでも大丈夫じゃ」
「え?」
心配してるのが、わかっちゃったかな。
「あそこの奉行は、僕に好意を持ってくれちょる人じゃ。突然こっちの隊が行って包囲すりゃあ、無駄な血を流す事はせずに、必ず、こっちの要求を受け入れてくれるじゃろ」
…。
そんな計算してたんだ。
たった八十人でも、優勢になるって言ってたのは、単なるハッタリじゃなかったんだ。
ん?なんか、外がざわざわしてきた。
「高杉さんっ!」
皆が戻って来たみたい。
「成功しましたっ」
「ああ、ご苦労」
おおっ。
やっぱ、高杉さんについてきて、間違いないっ。
「よし、これから、海軍を盗りに行くぞ」
「海軍?」
「そうじゃ。三田尻に海軍を盗りに行くんじゃ」
…大きく出るなぁ。
海軍となったら、奉行所襲うのとは、ちょっと、わけが違うんじゃない?
ほら、皆だって、呆然としちゃってる。
「伊藤はここに残れ。織田、行くぞっ」
「えっ?あ、はいっ」
高杉さんは、他に十八人ほど指名して、船に乗り込んだ。

目指すは三田尻。
高杉さんの事だから、考えがあるとは思うけど、たったの二十人で、海軍をどうやって奪うんだろ?
あたし、足手まといにならないかなぁ。
「高杉さん、どうやって、海軍を奪うんですか?」
「そりゃ、強盗の如く、頂くのさ」
「ごっ、強盗!」
「その通り」
「…」
ああ、神様。
私の罪をお許し下さい…。
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