ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…なんでこんなことに…。」

「炎の直接的な原因は…ブレイジリアスとシャリアスの『風』だよ。」

「シャリアス!?シャリアスに会ったの!?」

「…うん。」

「シュリも…会ったの?」

「…そう…だね…。」

「そう…なんだ…。」


思わず視線が下がる。
…シュリのことが心配だった。


会ったのならば分かったのだろう。
シャリアスがシュリの想うシャリアスなのか。


「眠ったのはあたしだけ?」

「いや…ミアもクロハもだ。」

「キースはその…えっと…あ、ブレイジリアスのせいで眠くはならなかったの?」

「…うん。俺はジアとは『違う』から。」

「それってあたしが弱いってこと?」

「そうじゃないよ。根本的なところが違う、って話だよ。」

「…根本的なところ?」


キースの目がどこか遠く感じられる。
声も…なんだか変だ。
何が変なのかは説明することができないけれど、確かにいつもと何かが違う。


「…ジア。」


キースが小さな声でそう呼んだ。

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