ハルアトスの姫君―君の始まり―
「な…なに…?」

「ジアに大切な話がある。今夜、話したい。」

「え…?」

「…ジアに言わなくちゃならないことがあるんだ。」

「あたしに…?何を…?」

「今はまだ言えない。でも今夜、ちゃんと言うから。」

「……。」


聞くのが怖い、と何故か咄嗟にそう思ってしまった。
はっきりとした理由はない。それでも…怖い。
…聞いたらもう、戻れない。


夢がフラッシュバックする。


「キース…。」

「なに?」

「嫌な話じゃ…ないよね…?」


キースは一瞬無表情になり、それでも小さく微笑んだ。
答えは返ってこない。


笑顔が答えってことなのだろうか?


「キース、答えて。」

「ジアにとって嫌か嫌じゃないかは分からない。」

「…じゃあキースにとっては?」


キースが困った顔をした。
何を言われるのかは分からないけれど、なんだか胸騒ぎがする。


『よくないこと』の予感がする。

< 188 / 424 >

この作品をシェア

pagetop