ハルアトスの姫君―君の始まり―
家を出て5分ほど歩いた。
未だ人はおろか、生き物と呼べるものにも出会っていない。


「あたしとクロハが新婚に見えるわけないじゃない!ねー?」

「そんな風に見えたとしたらおれは自殺する。」

「はぁー?何よその言い草!あたしだって嫌よ!」

「わーってるよ。それよりも人探せ、人!」

「探せって言ったって…ホントに誰もいないんだもん…。」


人の気配がない。信じられないほどに。


「あ、ねぇ、あそこ、うずくまってる人いない?」

「どこだよ?」

「あっち!来てっ!」

「あ、おい!ジア!」


クロハの腕をかなり強引に掴んでそのまま走る。
それを強く振り払えないクロハは、あたしの勢いに引っ張られるままだ。





「すいませんっ!あの…。」





確かに人だ。ボロボロの、ギリギリ洋服と呼べそうなものを身に着けた人。
ゆっくりと顔を上げたその人があたしに焦点を合わせると、途端に目を大きく見開いた。





「…マリアンヌ様…。」

「え…?」

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