ハルアトスの姫君―君の始まり―
真っすぐすぎるほど真っすぐに老人がそう言葉を発した。
「…のはずもない…か…のぅ…。
マリアンヌ様は高貴なお方。このような荒廃した土地を歩きなさるはずもない…。
すまないな、お嬢さん。」
そう言うと、老人はまたその視線を下げて俯いた。
足をたたみ、ぎゅっと抱えたまま、呼吸だけは辛うじてしている、そんな感じだ。
「マリアンヌ様…って人に、あたし、似てるんですか?」
ジアの問いかけに老人はまたしてもゆっくりと顔を上げ、優しげに目を細める。
「…とても、とても似ておられますぞ、マリアンヌ様に。」
どこか懐かしむような目でジアを見つめる。
まるでジアのその先に、〝マリアンヌ様〟を見ているような目で。
「髪の色こそ違うがの…凜とした立ち姿がとても…とても似ておられる。」
「あ、あの…マリアンヌ様って…?」
「マリアンヌ様…マリアンヌ・ウォリティアヌ・ハルアトス。
ハルアトス王家の女王陛下にございます。」
「じょ…女王陛下!?」
予想もしなかった答えにたじろいだ。
クロハはゆっくりと老人の言葉を噛み締めている。
「なぁ、少し話聞いてもいいか?
おれたち、この村には来たばかりでよく分からないんだ、色々と。」
「わしも分からぬことばかりですぞ?」
「…かもしんねぇけど、それでもおれらよりは知ってるだろう?
それに、一市民が女王の立ち姿なんか知ってるとは思えねぇんだけど。」
「…わしは一市民に変わりない。
一時期、まだこの国が穏やかであった頃、王宮で働いていただけのことじゃよ。
もうあまりにも遠い昔のように思えるがのぉ…。」
そこで言葉が止まる。
老人の目が遠くを見つめている。
「…のはずもない…か…のぅ…。
マリアンヌ様は高貴なお方。このような荒廃した土地を歩きなさるはずもない…。
すまないな、お嬢さん。」
そう言うと、老人はまたその視線を下げて俯いた。
足をたたみ、ぎゅっと抱えたまま、呼吸だけは辛うじてしている、そんな感じだ。
「マリアンヌ様…って人に、あたし、似てるんですか?」
ジアの問いかけに老人はまたしてもゆっくりと顔を上げ、優しげに目を細める。
「…とても、とても似ておられますぞ、マリアンヌ様に。」
どこか懐かしむような目でジアを見つめる。
まるでジアのその先に、〝マリアンヌ様〟を見ているような目で。
「髪の色こそ違うがの…凜とした立ち姿がとても…とても似ておられる。」
「あ、あの…マリアンヌ様って…?」
「マリアンヌ様…マリアンヌ・ウォリティアヌ・ハルアトス。
ハルアトス王家の女王陛下にございます。」
「じょ…女王陛下!?」
予想もしなかった答えにたじろいだ。
クロハはゆっくりと老人の言葉を噛み締めている。
「なぁ、少し話聞いてもいいか?
おれたち、この村には来たばかりでよく分からないんだ、色々と。」
「わしも分からぬことばかりですぞ?」
「…かもしんねぇけど、それでもおれらよりは知ってるだろう?
それに、一市民が女王の立ち姿なんか知ってるとは思えねぇんだけど。」
「…わしは一市民に変わりない。
一時期、まだこの国が穏やかであった頃、王宮で働いていただけのことじゃよ。
もうあまりにも遠い昔のように思えるがのぉ…。」
そこで言葉が止まる。
老人の目が遠くを見つめている。