ハルアトスの姫君―君の始まり―
「王宮で働いていた?」
「ああ。掃除を主な仕事としていた…。
あの頃は国王陛下も女王陛下も…穏やかに微笑んでおった…。」
「あ、あの…あなたの名前は…。」
「ギル、と申します、お嬢さん。」
あたしにすっと目を合わせて、ギルはそう言った。
低くしわがれた声に、今までの苦労を思わせる響きが感じられる。
「…なぁ、ギル。
どうしてここはこうなった?なぜ人の気配がないんだ?」
「…17年前のことじゃよ。もう…17年前にもなるのじゃな…。」
ギルが記憶の鎖を手繰り寄せながら、少しずつ言葉を探していく。
それを見守りながら言葉の続きを待つ。
「悲劇の授名式…。」
「ジュメイシキ…?」
未だかつて聞いたことのない言葉であったため、脳内で上手く変換できない。
「名を授ける式典のことじゃ。
ハルアトス王家ではお子が生まれた際に、その生まれた日から丁度3ヶ月と12日経った日に授名式を行うのが決まりとなっておったんじゃ。」
「それが悲劇って…どういうこと?」
「…あれは寒さ厳しい2月15日。
忘れることなどできはしまい。…あの日、ハルアトスは壊れてしまったのじゃからな。」
苦しそうに顔を歪めて身体をぎゅっと抱きしめるギルの肩に、あたしはそっと手を置いた。
「ああ。掃除を主な仕事としていた…。
あの頃は国王陛下も女王陛下も…穏やかに微笑んでおった…。」
「あ、あの…あなたの名前は…。」
「ギル、と申します、お嬢さん。」
あたしにすっと目を合わせて、ギルはそう言った。
低くしわがれた声に、今までの苦労を思わせる響きが感じられる。
「…なぁ、ギル。
どうしてここはこうなった?なぜ人の気配がないんだ?」
「…17年前のことじゃよ。もう…17年前にもなるのじゃな…。」
ギルが記憶の鎖を手繰り寄せながら、少しずつ言葉を探していく。
それを見守りながら言葉の続きを待つ。
「悲劇の授名式…。」
「ジュメイシキ…?」
未だかつて聞いたことのない言葉であったため、脳内で上手く変換できない。
「名を授ける式典のことじゃ。
ハルアトス王家ではお子が生まれた際に、その生まれた日から丁度3ヶ月と12日経った日に授名式を行うのが決まりとなっておったんじゃ。」
「それが悲劇って…どういうこと?」
「…あれは寒さ厳しい2月15日。
忘れることなどできはしまい。…あの日、ハルアトスは壊れてしまったのじゃからな。」
苦しそうに顔を歪めて身体をぎゅっと抱きしめるギルの肩に、あたしはそっと手を置いた。