ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ジョアンナ様がお会いしたいそうです。どうぞ、城へ。」

「キース!離してっ!」


自分の声に全く反応を示さないキースに悪寒が走る。
視線も合わない。
無しか映さない瞳がどこか遠くを見つめている。


「…無駄ですよ、ジア。
その男に君の声は届かない。」

「え…?」

「彼はもう、ジョアンナ様の僕なんだ。
君のことなどもう覚えていないよ。」



〝オボエテイナイ〟


酷く冷たい言葉が降って来て、一瞬眩暈を覚える。


「少々手荒な真似をしてしまって申し訳ありませんが、ついて来てもらいますよ。」





「シュリ!いた!あっちだ!」

「クロハっ!」

「…シャリアス…!」





シュリが手から放った光の玉がシャリアスをかすめる。





「お客様が一人、二人…三人ですね。歓迎しますよ。」


淡白な微笑みを携えて、シャリアスはそう言った。

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