ハルアトスの姫君―君の始まり―
キースが同じ。
それは一体どういうことなのだろう。
ジョアンナの言葉の真意が読み取れない。


「シュリも私も、そしてキースも皆同じだ。
亡き者を追いかけている。」

「シュリは違う!」


咄嗟にきつい声が出た。
それを笑いを含んだ妖艶な口が諌める。


「…そう声を荒げるな。先はまだ長いぞ、ジア。
確かにお前の言うことにも一理ある。
シュリは違うな。今目の前に居る。その存在だけは。」

「…。」

「自分がかつてシュリを愛した〝シャリアス〟であるという記憶は何もないがな。」

「っ…。」


どこかで、…頭のどこかでは分かっていたことだった。
それでもこうして口に出されてはそれを認めるしかない。


―――認めたくはない、言葉だった。


「同じようで違う存在。
それでもシュリは奴を諦められない。
…たとえ想いが叶わなくとも。」

「…叶わないなんて、あなたが決めることじゃない。」

「それもそうだな。
そう怖い顔をするな、ジア。それに話を戻そう。
お前が知るべきはシュリのことではない。
…キース、ただ一人のはずだ。」


魔女の口元が怪しく光った。

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