ハルアトスの姫君―君の始まり―
走馬灯のように蘇る、記憶。
『死ねると…思ったのに。』
…こう言われてあたしは叩いたね、そのほっぺ。
『ジアに命を託したことも嘘じゃない。後悔もしていない。
だから…俺はジアがいてほしいと思う間はずっと傍にいるよ。』
『…約束。』
『うん。約束。』
…約束、したんだよ。この約束がどれだけあたしを救ってくれていたか、キースはきっと分かってないんだろうね。
ってそれもそのはず、かな。あたし、伝えようとしなかったもんね。
『ありがとう、ジア。ジアの手はあの日も温かかったよ。』
…猫の姿のあたしを〝あたし〟だって思ってくれた、気付いてくれた。
それが…あたしは本当に嬉しかった。
あの時猫の姿じゃなかったら、涙で顔も頭もおかしくなってしまうくらいに。
「さよなら、だね。」
…さよならなんて、したくなかった。
だからこうして、ここに来た。
終わりになんて、しない。
―――させない。
「…あたしは諦めないよ、キース!」
そう言って身をくるりと回し、剣を取る。
剣は…捨てない。あたしからは絶対。
『死ねると…思ったのに。』
…こう言われてあたしは叩いたね、そのほっぺ。
『ジアに命を託したことも嘘じゃない。後悔もしていない。
だから…俺はジアがいてほしいと思う間はずっと傍にいるよ。』
『…約束。』
『うん。約束。』
…約束、したんだよ。この約束がどれだけあたしを救ってくれていたか、キースはきっと分かってないんだろうね。
ってそれもそのはず、かな。あたし、伝えようとしなかったもんね。
『ありがとう、ジア。ジアの手はあの日も温かかったよ。』
…猫の姿のあたしを〝あたし〟だって思ってくれた、気付いてくれた。
それが…あたしは本当に嬉しかった。
あの時猫の姿じゃなかったら、涙で顔も頭もおかしくなってしまうくらいに。
「さよなら、だね。」
…さよならなんて、したくなかった。
だからこうして、ここに来た。
終わりになんて、しない。
―――させない。
「…あたしは諦めないよ、キース!」
そう言って身をくるりと回し、剣を取る。
剣は…捨てない。あたしからは絶対。