ハルアトスの姫君―君の始まり―
「生まれ…そうだね…。関係していないと言ったら嘘になる。」


キースがゆっくりと視線を遠くへやって、一度息をはいた。
そしてその目が真っすぐに自分に向かってくる。


「…話そうか。長くなるかもしれないけど、大丈夫?」

「話したくないなら…訊かないけど…。」

「話したくない…なんて、なんだか逃げのような気がする。」

「え…?」


キースの言葉の意味が分からずに首を傾げると、キースは少し困ったように笑った。


「きっと、心の奥底ではずっと誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
誰にも全てを話したことはなかったから。」

「だってクロハには…。」

「生い立ち全てを話してはいないよ。俺に半分、魔法使いの血が流れていること、そして在ってはならない存在だということだけしか話していない。
…ジアにも、そこまでしか話していない。」

「でもっ…ルナっ…。」


そこまで言って口をつぐむ。
…ずっと気にかかっていた人の名は、あまりにもするりと口から出た。


キースは首を横に振った。


「…ルナには、何も話さなかった。
帰ってきたら、話すつもりだった。…もう、決して言うことはできないけれど。」


キースはそこで、一呼吸おいた。


「昔話、付き合ってくれる?ジア。」


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