ハルアトスの姫君―君の始まり―
【キースside】
過去を思い出すには痛みが伴うことは直感的に分かっていた。
それでも…彼女には、話したかった。それは多分、自分が少し前に進み、強くなれたからなのだろう。
過去にあまり、光の記憶がない。
それは両親があまり俺を外に出したがらなかったからだった。
エフェリア国内のはずれにある小さな人間の村に、俺と両親は生きていた。
「ねぇねぇ、ぼくはどうしてそとにでちゃいけないの?」
子どもだったからこそ、こんな風に訊けた。すると決まって、母さんは少し悲しそうな顔をしながら俺に言った。
「…みんなはあなたを傷付けるわ。あなたは何も、悪くはないのに。」
今思えば、その言葉はおそらく自分自身を責めていた。
生まれたこと自体を否定される、俺をこの世に産み落としてしまった自分を。
「絶対に一人で外に出てはだめよ、キース。」
呪文のようにそう繰り返された言葉。
母さんの切なげな表情に、子どもながらに何か感じるものがあったのだろう。俺は素直に従っていた。それ以上、悲しい顔をしてほしくはなかったから。
だが、俺は母さんとの約束を破る。
―――あの日、生まれて初めて自分の意志で外に出た。
過去を思い出すには痛みが伴うことは直感的に分かっていた。
それでも…彼女には、話したかった。それは多分、自分が少し前に進み、強くなれたからなのだろう。
過去にあまり、光の記憶がない。
それは両親があまり俺を外に出したがらなかったからだった。
エフェリア国内のはずれにある小さな人間の村に、俺と両親は生きていた。
「ねぇねぇ、ぼくはどうしてそとにでちゃいけないの?」
子どもだったからこそ、こんな風に訊けた。すると決まって、母さんは少し悲しそうな顔をしながら俺に言った。
「…みんなはあなたを傷付けるわ。あなたは何も、悪くはないのに。」
今思えば、その言葉はおそらく自分自身を責めていた。
生まれたこと自体を否定される、俺をこの世に産み落としてしまった自分を。
「絶対に一人で外に出てはだめよ、キース。」
呪文のようにそう繰り返された言葉。
母さんの切なげな表情に、子どもながらに何か感じるものがあったのだろう。俺は素直に従っていた。それ以上、悲しい顔をしてほしくはなかったから。
だが、俺は母さんとの約束を破る。
―――あの日、生まれて初めて自分の意志で外に出た。