ハルアトスの姫君―君の始まり―
どれくらい泣いていたのかは覚えていない。泣き止んだ頃を見計らって、母さんは口を開いた。
「落ち着いた?」
「…うん…。」
「外に出るな、なんて…私、酷い約束しちゃったね。」
「…かあさんのいうとおりだった…。ぼくはそとにでちゃいけなかった…。」
外に出なければ、あんなことを言われずに済んだ。こんなに胸が痛くなることは無かった。思い出せばまた涙が零れそうで、そこまでしか言えなかった。
「何があったか、話してくれる?」
「ぼくのきず…すぐなおった…それ、きもちわるいって…ぼく…の…あし…。」
もう一度膝を見つめたが、やはり傷は無かった。怪我をしたという事実そのものすらないように思えた。
「…傷がすぐ治ったのね?」
膝を見つめながら頷いた。すると、母さんは穏やかな声で言葉を続けた。
「…ずっと、言わないできたけど…それはやっぱりあなたにとっても良くないわね。
私がいつまでもあなたを守ってあげられるわけじゃない。」
「かあさん…?」
誰かに言い聞かせているような、それでいて決意したかのような口調で母さんは言った。
「キース。
…あなたは半分だけ、魔法使いなの。」
その日、ただの人間として育てられた俺は終わった。
「落ち着いた?」
「…うん…。」
「外に出るな、なんて…私、酷い約束しちゃったね。」
「…かあさんのいうとおりだった…。ぼくはそとにでちゃいけなかった…。」
外に出なければ、あんなことを言われずに済んだ。こんなに胸が痛くなることは無かった。思い出せばまた涙が零れそうで、そこまでしか言えなかった。
「何があったか、話してくれる?」
「ぼくのきず…すぐなおった…それ、きもちわるいって…ぼく…の…あし…。」
もう一度膝を見つめたが、やはり傷は無かった。怪我をしたという事実そのものすらないように思えた。
「…傷がすぐ治ったのね?」
膝を見つめながら頷いた。すると、母さんは穏やかな声で言葉を続けた。
「…ずっと、言わないできたけど…それはやっぱりあなたにとっても良くないわね。
私がいつまでもあなたを守ってあげられるわけじゃない。」
「かあさん…?」
誰かに言い聞かせているような、それでいて決意したかのような口調で母さんは言った。
「キース。
…あなたは半分だけ、魔法使いなの。」
その日、ただの人間として育てられた俺は終わった。