ハルアトスの姫君―君の始まり―
母さんがいなくなってからは魔法を覚える術がなくなった。定期的に母さんが自分の出身の村に自分が残してきた書物などを取りに戻っていたということを、後から知った。
15歳になった頃、俺は何を思ったか、自分で母さんの形見を取りに行くことを決めた。母さんの出身の村こそがヴィトックスだった。
父さんは男手ひとつで俺を育てるために、研究に明け暮れた。
父さんが人間である手前、俺は人間界で生き抜くことを余儀なくされた。そこで俺は人間界で剣術を学ぶようになった。人間の目の前で魔法は基本的に使えない。魔法はあくまで最終手段だ。それならばと思って始めたことだった。
父さんには何も話さずに家を出た。幸か不幸か父さんは2日ほど前から研究をするための共同区画に出向いていて、あと3日は帰らない。
風を纏えばヴィトックスまで1日もかからない。母さんが自分の物をどこに隠しているかは本の中に挟められていた地図で目星はついていた。
行ったことはない場所だったけれど、不思議と不安はなかった。
むしろ、この時は僅かに希望を持っていたような気がする。
もしかしたら自分は人間界よりも魔法使いの世界の方が生きやすいのではないか、と。
だが、その想いはほぼ一瞬にして打ち砕かれることになる。
なぜ母さんが俺をこの地に連れて来なかったのか。その理由は身体と心に痛みを伴いながら同時に刻まれる。
母さんは随分と人気のない場所に隠していたな、などと思いながら地面に手をかざし、土を掘った。その瞬間、だった。
「カリーナがよそで作った子がなんでこんなところにいるんだい!?」
ヒステリックに叫ぶ声が聞こえたかと思うと、それに応じて村人が集まってくる。
向けてくる目はおぞましいほどに冷たかった。
15歳になった頃、俺は何を思ったか、自分で母さんの形見を取りに行くことを決めた。母さんの出身の村こそがヴィトックスだった。
父さんは男手ひとつで俺を育てるために、研究に明け暮れた。
父さんが人間である手前、俺は人間界で生き抜くことを余儀なくされた。そこで俺は人間界で剣術を学ぶようになった。人間の目の前で魔法は基本的に使えない。魔法はあくまで最終手段だ。それならばと思って始めたことだった。
父さんには何も話さずに家を出た。幸か不幸か父さんは2日ほど前から研究をするための共同区画に出向いていて、あと3日は帰らない。
風を纏えばヴィトックスまで1日もかからない。母さんが自分の物をどこに隠しているかは本の中に挟められていた地図で目星はついていた。
行ったことはない場所だったけれど、不思議と不安はなかった。
むしろ、この時は僅かに希望を持っていたような気がする。
もしかしたら自分は人間界よりも魔法使いの世界の方が生きやすいのではないか、と。
だが、その想いはほぼ一瞬にして打ち砕かれることになる。
なぜ母さんが俺をこの地に連れて来なかったのか。その理由は身体と心に痛みを伴いながら同時に刻まれる。
母さんは随分と人気のない場所に隠していたな、などと思いながら地面に手をかざし、土を掘った。その瞬間、だった。
「カリーナがよそで作った子がなんでこんなところにいるんだい!?」
ヒステリックに叫ぶ声が聞こえたかと思うと、それに応じて村人が集まってくる。
向けてくる目はおぞましいほどに冷たかった。