ハルアトスの姫君―君の始まり―
「キース、お前は父さんと母さんどちらにも望まれて生まれてきた。
どんな人もお前の存在を否定なんてできるはずないんだ。
…人間も魔法使いも関係なく、どうしても〝ヒト〟という難しい生き物は〝異質〟なものを排除したがる。悲しいことにね。
でも、それは正しくない。異質じゃないものなんてない。みんな違う。そのことに目を瞑っているだけなんだ。みんな同じであるフリをしているんだよ。
…だからキース。お前だけはそうならないでほしい。お前はお前で誰かじゃない。父さんはお前だから大切だし、愛おしいと思っている。それは母さんも同じだよ。
父さんは母さんが魔法使いだから大切なんじゃない。母さんが母さんだから大切なんだ。魔法使いか人間かなんて問題じゃないよ。少なくとも父さんにとってはね。世界で一番愛した人で、世界で一番父さんを愛してくれた、本当に大切な人だ。
…いつか出会うよ、お前も。大切だと想う誰かに。そして大切だと想ってくれる誰かに。」
父さんらしい言葉を残して、その日の食事は終わった。食べ物の味なんかよりも、父さんが席を立ってお風呂に入っている間に流した涙の味の方が強かった。
死にたいと思ったことを恥じた。
自分は愛されている。少なくとも、両親には。
それだけは唯一、確かだと思える温もりだった。
ただ、父さんの最後の言葉については、希望を持つだけ虚しい気がした。
この先誰かが俺を必要とする日が来るのだろうか?
それと同時に、誰かを必要だと本気で思えるようになるのだろうか?
そんなことを思い続け、なんとか人間の中に紛れて生活をすることに慣れてきた時、俺は〝ルナ〟に出会ったんだ。
21歳の春。
ルナ・フォートは現れた。
どんな人もお前の存在を否定なんてできるはずないんだ。
…人間も魔法使いも関係なく、どうしても〝ヒト〟という難しい生き物は〝異質〟なものを排除したがる。悲しいことにね。
でも、それは正しくない。異質じゃないものなんてない。みんな違う。そのことに目を瞑っているだけなんだ。みんな同じであるフリをしているんだよ。
…だからキース。お前だけはそうならないでほしい。お前はお前で誰かじゃない。父さんはお前だから大切だし、愛おしいと思っている。それは母さんも同じだよ。
父さんは母さんが魔法使いだから大切なんじゃない。母さんが母さんだから大切なんだ。魔法使いか人間かなんて問題じゃないよ。少なくとも父さんにとってはね。世界で一番愛した人で、世界で一番父さんを愛してくれた、本当に大切な人だ。
…いつか出会うよ、お前も。大切だと想う誰かに。そして大切だと想ってくれる誰かに。」
父さんらしい言葉を残して、その日の食事は終わった。食べ物の味なんかよりも、父さんが席を立ってお風呂に入っている間に流した涙の味の方が強かった。
死にたいと思ったことを恥じた。
自分は愛されている。少なくとも、両親には。
それだけは唯一、確かだと思える温もりだった。
ただ、父さんの最後の言葉については、希望を持つだけ虚しい気がした。
この先誰かが俺を必要とする日が来るのだろうか?
それと同時に、誰かを必要だと本気で思えるようになるのだろうか?
そんなことを思い続け、なんとか人間の中に紛れて生活をすることに慣れてきた時、俺は〝ルナ〟に出会ったんだ。
21歳の春。
ルナ・フォートは現れた。