ハルアトスの姫君―君の始まり―
そしてルナの家へと向かった。
ルナの家があった場所も我が家同様、何もなかった。
ルナの香りを感じることができない。
「ルナっ…!ルナ…!」
何もないその場所を見つめれば見つめるほどルナを感じることができない。
ルナはいない。もう俺の知らない場所へと旅立ってしまった。
無事に逃げてくれたと思いたい。その気持ちは強くあったけれど、そんな甘い考えを簡単に打ち砕いてしまうほどに絶望的な風景がそこにあった。
―――誰も生きてなどいない、と思わせるほどには充分な世界が広がっていた。
空気の冷たさがやけに痛い。
涙がそのまま凍ってしまいそうだった。
変わらぬ愛を注いでくれた父親を失い、初めて愛しいと感じた身内以外の人間を失い、どうしていいのか分からなくなった。
…なぜ、〝好き〟だと告げずに別れることができたのか。
自分の生死ではなく、彼女の生死を考えることができなかったのか。
父さんは幸せな人生を歩めたのか。…俺が歪めてしまったのではないか。
嫌な想いが連鎖して積み重なっていく。
雪まで降り始めた。もはや頬を伝う水が涙なのか雪が溶けた後なのかすら分からない。
―――絶望だった。絶望した。世界に、そして自分に。
二度と会えない、愛しい人。
世界に希望を見出すことの方が難しかった。
そんな自分が致命傷を負うのは、もう少し先の話だ。
そしてジア、君に出会うのも。
ルナの家があった場所も我が家同様、何もなかった。
ルナの香りを感じることができない。
「ルナっ…!ルナ…!」
何もないその場所を見つめれば見つめるほどルナを感じることができない。
ルナはいない。もう俺の知らない場所へと旅立ってしまった。
無事に逃げてくれたと思いたい。その気持ちは強くあったけれど、そんな甘い考えを簡単に打ち砕いてしまうほどに絶望的な風景がそこにあった。
―――誰も生きてなどいない、と思わせるほどには充分な世界が広がっていた。
空気の冷たさがやけに痛い。
涙がそのまま凍ってしまいそうだった。
変わらぬ愛を注いでくれた父親を失い、初めて愛しいと感じた身内以外の人間を失い、どうしていいのか分からなくなった。
…なぜ、〝好き〟だと告げずに別れることができたのか。
自分の生死ではなく、彼女の生死を考えることができなかったのか。
父さんは幸せな人生を歩めたのか。…俺が歪めてしまったのではないか。
嫌な想いが連鎖して積み重なっていく。
雪まで降り始めた。もはや頬を伝う水が涙なのか雪が溶けた後なのかすら分からない。
―――絶望だった。絶望した。世界に、そして自分に。
二度と会えない、愛しい人。
世界に希望を見出すことの方が難しかった。
そんな自分が致命傷を負うのは、もう少し先の話だ。
そしてジア、君に出会うのも。