shining☆moon‐私の王子様‐
「フレン…?」
嬉しさと恥ずかしさを紛らわすように、私は平然を保ちながらフレンを見詰める。
胸の奥底が熱くて、どうしようもなく抑えられないような私の揺らぐフレンへの想いを隠す。
バレないように、バレないように。
そんな私とは真逆なフレンは心配そうに肩を竦(すく)める。
「…痛い思いさせて、ごめん」
何を言い出すかと思ったら、謝罪の言葉。
多分私の身体の傷達のこと。
「大丈夫大丈夫」
私は目を細めて柔らかく笑う。
そんな時、ふと私はヴィンセントの存在に気付く。
フラフラと立ち上がり息を荒くしていた。
フレンが付けたヴィンセントの傷から血が滲んでいるのがわかる。
私達は反射的に身を構えた。
「…フレン、よくもやってくれたね?……ほんと、痛いよ…」
「…てめぇが色々と俺にお世話してくれたから、恩返しだよ」
フレンもヴィンセントも、口は笑っているが目は笑っていなかった。
私の額に汗が滲む。
当然、この汗は冷や汗。
フレンとヴィンセントからは巨大な魔力が感じられる。
それに私はただ目をやる事しかできなかった。
「掛かって来やがれ、偽物吸血鬼」
「黙れ、王子様気取りが」
鋭く、お互いを突っつきあったら長い沈黙が彼らを襲う。
息をするのにも緊張がいる物静かな夜。
こんなに長い夜は初めてだと思うぐらい、時の流れは私たちの“夜”と認識する脳をぐちゃぐちゃに練り潰す。
私は音の無い空間にふと隙間を見つけ、倒れ込む、ルイス、レオ、クロードに目を向ける。
ごくりと鳴らす喉の音は意外にも響いていた。
その直後だった。
林の奥から空に向かって、鳥の群れが一斉に飛び立っていった。
バサバサと音を立てて、羽を散らせて。
自由に、広い空へと。
その鳥とほぼ同時に、フレンとヴィンセントはぶつかり合っていた。