shining☆moon‐私の王子様‐
耳に残るような鋭く、甲高い金属の音が私をどんどん不安へと飲み込んでいく。
だからといって、フレンと共にって訳にもいかない。
邪魔になるだけ。
金属の荒れた音と、フレンとヴィンセントの絡まる視線は、まるで野獣同士の戦いのよう。
私はその二人に釘付け。
釘付けというか、ただ見てるだけしかできなくて、その場を動くことも間もない。
すると不意に私の視界に、黒い猫が入った。
月明かりで照らされた黒い猫は漆黒の毛を私の右足にスリスリと擦り付ける。
一般の猫と変わらない。
だけどなんとなくどこかが違っていた。
「…貴方、猫じゃないの?」
私はふざけ半分だった。
猫に話し掛けるという、バカな発想。
返事が帰ってくるなんて、想像はついていなかった。
「俺はヴィンセントのパートナーのデュークだ」
「!!」
なんとも大人っぽく、低い声が猫の方から聞こえていた。
な、なんだ??
きっと今の私は目が点になっているだろう。
私は猫をまじまじと見た。
すると…。
「な、なんだ…」
また、猫の方から声がした。
私はくるっと猫の周りを一周してみる。
だけどこれといったものがなかった。
金属の音がだいぶ鋭く、速く、ぶつかり合う二人の声と共に私の方に接近してくるのを察知して、私は足元にいる猫を抱き、その場を離れた。
私が避難して来た場所にはラデイーさんがいた。
「ラデイーさん…」
ラデイーさんは冷たい目を向け、猫の頭を撫で始めた。
その表情はなんとも穏やかで、奥ゆかしく、今までのラデイーさんとは一転する程のもの。
「―……」
出る声も出なかった。
しばらくすると、猫は届かない手を一生懸命頭の上に伸ばしラデイーさんの手を嫌がる。
「辞めろ!ラデイー!」
今ので確かにわかった。
私の胸元で動く猫。
その猫から聞こえてる低い声。
その声とほぼ同時だった。
猫から細かい振動が。
喋れば揺れる。
細かな振動が私の身体に微かに感じる。
「猫が…喋った…」
「猫ゆうな!」
「はっ、はい!!」
威勢のいい猫の低い声に私はビビるように、張り上げた返事をする。