サクラドロップス
「10年後に、逢う・・・それに、どんな意味があったの?」
サラサラと舞い落ちてくる花びら。
その花びらに包まれて、今にもイツキは消えてしまいそうだ。
「イツキ?」
アタシは、また不安になって、両手でイツキの腕を握る。
するとイツキは視線を乾いた地面に落として、小さく溜息をつくと。
「・・・あの年の、春が過ぎたら、ボクは地方の高校に編入する予定だった」
と、言った。
「・・・編入?ウソ、聞いてない」
「うん、言ってない。お母さんと、2人で話して決めた。お母さんは何も聞いてこなかったけど・・・ボクの気持ちは解ってたんだと思う」
「・・・イツキの、気持ちって」
「・・・限界だった。ボクは。あの家で、ミユキと一緒に暮らすのは」
イツキの言葉で・・・風が、止まる。