シェリの旅路
「育てなくていいわ。

……今の私が立派とは言えない

けど一人前になるまでは

お母さんが育ててくれたから」


フランは言いながら

母親のことを思い出していた。


今、もし信頼できる人が

いたとしたら唯一

死んだ母親だけであろう。


そう思うと、急に裏切られた

時の悔しさ、悲しみ、絶望感、

孤独感が溢れ出してきた。


『フラン?』


女の感の鋭さというやつで、

フランの異変に気付いたキミは

呼びかけた。


「……先を急ぎましょう。

もう少し行ったら町があるわ。

今日はそこで休みましょう。

私、先に行ってるから」


フランはそう言うと

トランクに飛び乗って

飛んでいってしまった。


キミはフランの悲しそうな顔を

見て、自分の行動はなんて

浅はかだったのかと責めた。


勇気をなくしたジオが

殻に閉じこもってしまう事や

信じられないフランの悲痛な顔

二人が共鳴した愛をなくした者

の事を思うと涙がでできた。


どれだけ辛い目にあって

こうなってしまったのか

考えるだけで胸が苦しくなった。


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