蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜光明の騎士団〜‡

「お前は何もするなよ」
「貴女はここで見てなさい☆」
《『動くでないぞ』》

同行者全員に行動を制限されたリュスナは苦笑しながら、渋々だがそれを受け入れた。
そして、この状況を作り出した者逹に目を向け、同情的な視線を送った。

「我らは『光明の騎士団』っ。
この国を悪しき王族から救う為、あなた方の力を使わせてもらいたい。
ただでとは言わない。
この国を我らの手に取り戻したあかつきには、それなりの待遇をお約束しよう」

自信満々で述べくるその態度は、ただの民ではなく、貴族関係の者だろうと想像できた。
国が衰退して、王族がいなくなったとしても、貴族が消滅したわけではなかったのだと今更気づいた。
細々と、しかし図太く生き残った者はいたようだ。

「余りにも存在が稀薄過ぎて、貴族というものを失念していました…」
「あらやっぱり?
王族がいなくなって、頭を抑える者がいなくなったものだから、しばらくしてノコノコ出てきたのよ☆
お陰で、せっかく纏まりかけてた民逹を引っ掻き回してくれちゃって、更に小競り合いしまくり☆
それが原因で、マルスちゃんが王になるまで、誰一人玉座に座るものはいなかったわ◎」
「ずっとですか…?
それは…計算外でした…」
「お前が命を掛けたのになっ。
クソ野郎共がッッ」
「許せないわよね〜ぇ◎
リュスナの命を掛けた仕事があんな小者連中に邪魔されたなんてっ☆
これだから人族はっ…」
《『では遠慮はいらんな』》
「そうね◎
遠慮なくぶっ潰しましょ☆」
「よしっ手加減なしだな」
「っ我らを愚弄するかっ、十貴族の誉れを次ぐ栄誉ある『光明の騎士団』をッッ」
「聞いたことないわ☆」
「知らんな」
《『どうでもよい』》
「…ループ公爵の所の『光の騎士団』とユシューム公爵の『明の騎士団』が合わさったのだろうと言う事はわかりましたが…ひねりも何もないですね…」
「底が知れるな」
「単細胞ってやつね〜☆」
《『単純明解と言うやつか』》
「ッッおのれっ下手にでていればっ無礼なッッ」

どこからどこが下手だったのかと頭を捻っていれば、それが合図だったように剣を抜き放ち突進してきた。
十数人が残らず全員で向かってきたのだ。
だからといって可愛らしく慌てるような者はこちらにはいない。
前にでた三人は、共にニヤリと笑うと、次の瞬間にはあっさりと向かってきた十数人を残らず地に沈めていた。


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