蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜笑顔を〜‡

「帰っちゃったわね…リュスナ…」
「ああ…」
「…ちょっと、ラダ…あんた大丈夫?」
「おう…」
「早くまた会いたいわね」
「ああ…」
「既成事実つくれなかったわね」
「おう…っなっ何いってんだっ?!」
「あら、聞いてたの?」
「っ…俺はっ…」
「俺は?」
「っ…」
「はぁ、ヘタレ…。
良いわ◎
その根性叩き直してあげるっ☆
今度こそ絶対にリュスナを手に入れるのよッ☆」
「っおっおいッ」



「今度はいつ会えるでしょうか…」
「近いうちに必ず。
国を建て直すのでしょう?
やることは沢山のありますよ」
「はい…あのっクロノス様…っクロノス様は、姉様の事どう思って…っ」
「誰よりも愛しています。
誰にも渡したくないと思う程。
あの方の為になら、人間を全て殺しても気にならないくらい」
「ッッ…」

恐い…。
絶対本気だ。
この人ならやりかねない…。

「っ…ではクロノス様っ姉様にこちらの世界にずっといてもらう為には、どうしたら良いでしょうかっ」
「…拐って何処かに監禁しましょう…」
「ッ…っ」
「冗談です」

絶対嘘だッ。
目が本気だった。

「手っ取り早くて良さそうですが、そうですね…ゆっくり計画しましょう。
時間はありますよ」
「…はい…」

宰相の選択は…この上なく正解で、ものすごく問題だったかもしれない…。



「無事に帰ったようだな」
「ええ。
レンちゃんが暗躍したお陰よぉ。
もしかしてぇ魔王に会いに行った?」
「ああ、レイダを黙らせるにはあれが一番手っ取り早い。
何より、魔界と繋がった事で色々と面倒になるのが嫌でな」
「もぉ、相変わらず面倒臭がりね」
「ふっ、あの姫もこれで憂いが少しは晴れただろう。
あれでは、不憫でならんかったからな」
「?そう言えば、バルトだっけぇ?
あの子の記憶、呼び覚ましたのレンちゃんでしょう?
どうすんの?
二人でも面倒なのに、三人に言い寄られるなんて…羨ましすぎぃ」
「ははっ、それが本音か?
良いだろ?べつに。
あいつ自身の言葉で伝えなくては意味がなかったからな。
姫とあの男の過去の最も深い傷。
騙されて、やらされた方は当然だが、騙した方もかなりダメージくるからな…ああ言うのは…」
「まぁね…」
「人の命の重さを知るのと同時に、人は自分の命の重さを理解しなくてはならない。
あの姫は、身をもって知ったはずだ」
「ええ…これでようやく笑えるわね…」

これからは、沢山笑顔を見せてくれるだろう。
あの別れの時のクロノスに見せたような笑顔が、いつでも見られる日々がくる。

「あの姫なら三人どころか、軽く十人は悩殺しそうだな」
「…あるかも…」


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