蒼の王国〜金の姫の腕輪〜
‡〜ジュリさん〜‡

「へへへっえらく別嬪ばっかだ」
「怪我ぁしたくなきゃ大人しくしな」
「すっげぇ上玉じゃねぇか」

そろそろ王都が見えてくる頃と言う時、そいつらは現れた。
どこからどう見ても、定番な感じのガラが悪く汚い男二十と数名。
簡単に言ってしまえば盗賊団だ。
街道を左右から挟む形で囲まれてしまった。
この辺りは周りに木が林立しているし、もうすぐ王都だと思うと、旅人達の気も緩む為、待ち構えるには最適の場所だ。

「やだぁ★
キタナイのに会っちゃった〜★」
「めんどくせぇな」
《『ふむ、歯牙にもかけたくなくなるような臭いだ…くさい…』》
「うそぉ〜★
臭うんだ〜☆」
「無視だ無視、さっさと行くぞ」
「はい。
それに、手を出すまでもなさそうです」
「ん?何でだ?」
「あぁ〜ら◎
お目覚めみたいね☆」
《『ほぅ…なるほど』》
「何なんだよっ」
「あれです」

「「「うわぁぁぁ!」」」

突然悲鳴を上げた男達を見ると、身体中に蔓や枝が巻き付いていた。

「何なんだよっこれ!!」
「たっ助けっ…」
「気持ちわりぃ…!!」

絡まれただけならばまだ良いが、もがくにつれてきつく絞まり、更に玩具のようにブンブン振り回される。

「楽しそうですね。
遊園地を思い出します」
「何?それ〜☆」
「遊ぶ場所です。
沢山のアトラクションがあって、絶叫を楽しむためにあんな感じに遠心力を感じられる遊びがあるんです」
「へぇぇ☆
行ってみたい◎◎◎」
「そうですねぇ。
ナーリスとなら面白そうです。
機会があったら是非」

などと女性陣は楽しそうだ。
男性陣はと言うと…。

《『あれは、完全に玩具だな…気の毒に…』》
「…見てるだけで気分が悪くなりそうだ…」

と、同情していた。

「それで、あれは何なんだよ」
「ラダは遭遇した事ないですよね。
どうも恥ずかしがりやらしくて、エルフの血が混ざってる人達には姿を見せないんですよ」
「?んで、結局何なんだ?」
「”ジュリ”さんです」
「???何?」
「ですから、”ジュリ”さんです。
昔は、門番をやっていたんですが、隠居を希望されたらしく、この辺りでのんびりと、こうして時々遊んでいらっしゃるらしいです」
「…それってどうなんだ…?」
「大丈夫です。
あっ、通る時は『笑顔でおじぎ』を忘れてはいけませんよ」
「…わかった…」

そうして笑顔を振り撒きながら、一行は王都の門へと向かった。


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