弟矢 ―四神剣伝説―
弓月は彼が一矢でないことを確信していた。
「この方は一矢殿ではない。凪先生もそれを承知で吐かれた嘘でしょう?」
凪は、静かに息を吐く。
「その通り。さすが西国ですね。爾志家の地元というだけはあります。一矢どのの名を出した途端、あの男は一合もせずに引いてしまった」
「しかし、凪先生、それは……」
弓月の言葉を奪うように乙矢が続ける。
「遊馬一門と爾志一矢が一緒にいる。しかも、手元に『青龍二の剣』がある、となったら……。蚩尤軍がこの地に集結するぞ! しかも、次は確実に“神剣の鬼”に襲われる。どうすんだよっ!」
乙矢の言葉は的を射ており、一同は息を呑んだ。
しかし、そんな台詞を聞いても、長瀬には未練があるようで、
「おぬし……本当に一矢殿ではないのか?」
「違うって言ってるだろ」
「では、あの腕前はなんとする? 拙者の目にも、一矢殿の剣技と同一に映ったのだが」
「そりゃ、俺だって一矢と同じ年月を、道場で過ごしてきたんだ。流派だって同じなんだから、剣捌きなんか似てて当然だろ? 多分、それが咄嗟に出ただけで……」
「咄嗟に出たぁ? 言い訳ならもっとましなことを考えろ!」
「この方は一矢殿ではない。凪先生もそれを承知で吐かれた嘘でしょう?」
凪は、静かに息を吐く。
「その通り。さすが西国ですね。爾志家の地元というだけはあります。一矢どのの名を出した途端、あの男は一合もせずに引いてしまった」
「しかし、凪先生、それは……」
弓月の言葉を奪うように乙矢が続ける。
「遊馬一門と爾志一矢が一緒にいる。しかも、手元に『青龍二の剣』がある、となったら……。蚩尤軍がこの地に集結するぞ! しかも、次は確実に“神剣の鬼”に襲われる。どうすんだよっ!」
乙矢の言葉は的を射ており、一同は息を呑んだ。
しかし、そんな台詞を聞いても、長瀬には未練があるようで、
「おぬし……本当に一矢殿ではないのか?」
「違うって言ってるだろ」
「では、あの腕前はなんとする? 拙者の目にも、一矢殿の剣技と同一に映ったのだが」
「そりゃ、俺だって一矢と同じ年月を、道場で過ごしてきたんだ。流派だって同じなんだから、剣捌きなんか似てて当然だろ? 多分、それが咄嗟に出ただけで……」
「咄嗟に出たぁ? 言い訳ならもっとましなことを考えろ!」