ハッピークライシス
「…齢19にして10歳の子持ちとか、危機的状況すぎるだろ」
窓から飽きることなく外を眺めるシムカに、ユエは心の中でぽつりと呟く。ゆっくりと振り返るシムカが、こちらの心境とは裏腹に、にこりと笑みを浮かべた。
「はやく見てみたいなぁ。楽しみね、パパ」
「……そうだな」
「どうしたの?暗い顔。嫌なことがあるなら、記憶消してあげるけど」
けろりと常識はずれなことを言うシムカに、思わず声を上げて笑う。
もしかして、自分はとんでもないものを盗んでしまったんじゃないか?そんなことを考えながらも、目の前で嬉しそうな顔をしているシムカにユエは何も言えなかった。
おかしい、何かが変だ。
置いていけばいいのに、そんな簡単なことさえ出来ないなんてどうかしている。
ああ、とりあえず。
Happy Crisis
(なんて、幸せな危機)
for the time being
END――

