ハッピークライシス
「それじゃあ、リサは、一体何に価値と理解を見出すのですか」
「知りたいなら、ロゼ様、付き合ってくださる?」
リサは緩やかに微笑んで、ドレッサーに置かれていたヴィンテージウイスキーとデキャンタに入った水とを、トワイスアップでグラスに注いでユエに手渡した。彼女は、フィリップが好む方面の知識には乏しいものの、アルコール類についてかなり詳しいようだ。
ユエが口をつける前に、彼女は既にグラスを空け、ストレートでもう一杯咽喉に流し込む。
「そうしたら、…ロゼ様にも祝福を差し上げます」
確かに色欲の浮かぶ瞳を潤ませたリサがユエにそっと近づけば、独特のスモーキーフレーバーがふわりと香った。