ハッピークライシス
オーセンティックバー。
そこには、"特別な客専用の"バーカウンターが設置されている。
「ああ、来たか」
「人をこんな仰々しい場所に呼びつけて、つまらない話だったら殺すぞ」
「このホテルは、レヴェンの財政で賄っているんだ。ここなら、愚かな従業員から情報が外に漏れる心配がないからな」
シンシアは、煙草を口に咥えながら悪びれもせずに言う。
溜息をついて、バーテンダーにへネシーを注文し、目の前に置かれたそれをシンシアのグラスにカツンと当てた。
「…久し振りに飲むな」
「お前が禁酒?もしかしなくても、記憶を失くしたことがキッカケか」
掌の常温でころがしたへネシーをストレートで口に含む。
独特の香りがふわりと擽るのを楽しみ、ゆっくりと味わった。